中小企業財務分析士検定
Smaller Companies Financial Analysts Approval中小企業財務分析士検定とは
中小企業財務分析士は、中小企業を経営する上で役立つ財務分析を行い、
経営に的確なアドバイスができる知識を習得する事を目指します。
中小企業財務分析士は、中小企業財務分析士検定試験に合格する事により取得できる資格です。
財務分析とは何か
財務分析を正しく理解する
「財務分析」と言うと自己資本比率、流動比率、粗利率といった指標を連想されるのではないでしょうか。これらは全て、投資や融資を「判断する側」が使う指標です。
どう利用するかというと例えば、A社と比べてB社は経営が安定しているといった比較、この会社は成長性があるといった評価をするために使われます。つまり財務分析とは、会社外の人間が、特定の会社を評価するために使うものなのです。勘違いされている方も多いと思いますが、財務分析は「流動比率が何パーセントだったら安全である」といったような目標値として経営者や役員が経営指標として使うためのものでは無いのです。むしろ経営の目標値として設定すると、経営を誤った方向に向かわせてしまう可能性すらあります。
例えば、高額で付加価値の高い物を売るビジネスと薄利多売のビジネスを同じように論じることはできません。高付加価値のビジネスモデルは粗利率は高くなり、薄利多売のビジネスモデルは粗利率が低くなります。一般的に、高付加価値モデルは顧客を増やしにくいため、その会社にとっての一顧客の売上高に占める割合が高く、逆に薄利多売モデルでは一顧客の売上高に占める割合は低くなる傾向があります。高付加価値企業の方が、経営分析上は粗利率が高く、一見良い経営をしているように見えますが、規模が小さい場合、企業の売り上げに占める一顧客の割合が高いため、安定性に欠けてしまう場合があります。
このように分析指標に置き換えてしまうと見えるものまで見えなくなってしまうことがあり、これを元に経営のかじ取りをしようと思った場合、十分な知識や広い見識を持っていないと、却って経営を危険にさらしてしまう可能性があるのです。
財務分析の前提条件
財務分析の前提条件は、財務諸表が一定の基準で正確に作られていることです。しかしながら、中小企業における財務諸表は、恣意性の介入余地が大きく、他社との比較可能性が著しく低いものが少なくありません。例えば、役員の一存で決められる役員報酬が多額に計上されている場合、これを含めて労働分配率(粗利益に占める人件費の割合)を他社と比べても参考になりません。
また中小企業庁が集計、発表している中小企業の経営指標等においても、元となっているデータの質が担保されているわけではないので、特にサンプル数が少ないデータを扱う場合においては相当の注意が必要となります。例えば、流動比率(流動資産と流動負債の割合)一つとっても、流動資産が正しく把握されているか(それらの資産が全て一年以内に回収できるものであるか。不良資産が含まれていないか。)、あるいは、固定負債に流動負債とすべき、一年以内に返済する予定のある借入等が網羅されているか、といったような、会計ルール上、正しい処理が行われているかなどは、統計データからは窺い知ることはできません。元データの処理が不確かなものと単純比較することが、いかに危険であるかは想像に難くないでしょう。
中小企業財務分析士は、これら会計ルールや財務諸表の知識とともに統計学をふまえた分析をすることで、中小企業経営に役立つアドバイスを行える人材に付与される資格となります。中小企業の経理担当者、会計事務所の職員、銀行員、保険代理店など、企業が管理する数値に係る人材に取得することをお勧めいたします。
中小企業財務分析士になろう
中小企業財務分析士の資格を
取得するための4つの知識
- 中小企業経営に役立つ財務分析法
- 財務分析の元となる財務諸表の作成
- 中小企業の財務戦略
- 統計学の基礎知識
中小企業財務分析士検定試験
マニュアル
(2024年6月発売予定)
目次
(変更される可能性があります)
- 中小企業は決算書だけで利益が出ているか分からない
- 中小企業は会社とオーナーが混然となって経営している
- 決算書が正しく作られているかを見極めるチェックポイント
- 簿外資産があることを前提にした分析
- 中小企業の試算表の特徴
- 中小企業の財務で重要な手元資金
- 中小企業にで注意したい税務とは
- 実質貸借対照表を作ってみよう
- 一般的に経営分析と言われているもの
- 決算書を3期分並べて比較する
- 平均からは読み解けないデータ分布
- 中小企業分析で特に注目すべき、現預金比率、限界利益率、労働分配率
- CVP分析とは
- 金額に置き換える前の元データを見ないと実際の経営はわからない
- 前月と比べて売上が増えた?~一日分の営業日が売上におよぼす影響について~
中小企業財務分析士検定試験
中小企業財務分析士になるには年に2回(2023年度は1回)行われる「中小企業財務分析士検定試験」に合格しなければなりません。
将来的に国家資格をめざします。
受験をおすすめする方
- ・経営革新等支援機関(認定支援機関)
- ・税理士
- ・中小企業診断士
- ・行政書士
- ・経営コンサルタント
- ・ファイナンシャルプランナー
- ・DCプランナー などの金融系資格保持者
- ・金融機関
- ・保険会社、保険代理店
- ・企業経理担当者
など
中小企業財務分析士検定試験概要
受験資格
なし(日本国内に在住でなくても可)
試験概要
試験 | 年2回開催 次回は2024年10月を予定 |
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試験方法 | クラウドによるオンライン試験。自宅、職場可。 |
試験期間 | 3日間。24時間いつでも受験可能。 |
試験時間 | 90分 |
合否発表 | 試験日より2週間後 |
試験出題数 | 50問(選択式問題・論述式問題) |
合格基準 | 全出題数に対して正答率80%以上 |
受験料 | 25,000円(税込) |
資格付与期間 | 2年間の資格継続ライセンスを付与(更新時セミナー受講必須) |
特記 | 合格者にはJFAAのバッチ・賞状を進呈 本サイトに合格者としてお名前を記載(任意) ※現在、融資アナリスト資格をお持ちの方は、融資アナリスト上級となり上級JFAAバッチを送付いたします。 |
参考図書 | 中小企業の財務改善ノウハウ https://www.amazon.co.jp/dp/4474068696/ |